この記事では服用時の注意点も交え、パニック障害の予期不安に効く薬を紹介します。
予期不安に効く薬ってどんなものだろう?
薬を服用することで副作用とかはあるのかな…
パニック障害と診断された患者さんの多くが悩む、代表的な症状「予期不安」。予期不安とは、パニック発作がいつどこで起こるかわからないことに対する慢性的な不安のことを指します。
一度パニック発作を経験すると「またパニック発作が起こるのでは」という不安から、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
しかし、予期不安はパニック障害の治療を正しく進め、薬を服用することで消失を目指すことが可能です。予期不安の消失は、治療全体を円滑に進めるためにも重要といえます。
そこで、本記事では予期不安に効く薬を理由も交え、解説します。あわせて、薬を服用するときの注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 予期不安に効果的な薬は、抗うつ薬(SSRI)と抗不安薬
- 予期不安は処方薬を飲むことで消失・改善が期待できる
- 薬物療法と並行して心理療法を受け、薬に頼らない生活を目指す
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パニック障害の予期不安に効く薬
予期不安が起こるときに服用する薬は、次の2種類です。
- 抗うつ薬(SSRI)
- 抗不安薬
パニック障害の治療薬は、抗うつ薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)と抗不安薬を並行することが一般的です。病院で処方される薬については、医師が種類や量を決定します。
抗うつ薬(SSRI)
抗うつ薬(SSRI)は、パニック障害における第一選択薬です。主に予期不安の改善やパニック発作の抑制が期待でき、長期間の服用にも向いています。
一方、効果の発現にはやや時間を要します。個人差はありますが、服用から約2〜6週程度が目安です。代表的な抗うつ薬(SSRI)の名前および商品名は次のとおりです。
薬の名前 | 商品名 | 効果 |
---|---|---|
フルボキサミン | ルボックス、デプロメール | 抑うつ気分や不安感を軽快させ、緊張を和らげる |
パロキセチン | パキシル | 不安感を軽減させる(特に起床時など) |
セルトラリン | ジェイゾロフト | 不安感、落ち込み、意欲低下、眠れないといった症状にバランスよく作用する |
エシタロプラム | レクサプロ | 憂うつな気分を軽快させ、不安感を軽減させる |
服用によって、予期不安をはじめとする症状全般に効果がみられたら、段階的に薬の量を減らしていきます。完治したように思えても、2年ほどは服用を続けることが推奨されています。
抗不安薬
抗不安薬は、抗うつ薬(SSRI)と併用して服用することの多い薬です。パニック発作や予期不安などの症状が出たときに服用する、頓服薬として処方されることが多々あります。
抗不安薬には即効性があり、服用後すぐに症状が軽快します。その分、依存性も強く、長期間の服用には向かないのが特徴です。代表的な抗不安薬の名前および商品名は次のとおりです。
薬の名前 | 商品名 | 効果 |
---|---|---|
ジアゼパム | セルシン、ホリゾン | 不安や緊張を和らげる |
アルプラゾラム | ソラナックス、コンスタン | 不安、緊張、抑うつ、睡眠障害などの症状を和らげる |
ロラゼパム | ワイパックス | 不安や緊張を和らげる |
クロナゼパム | リボトリール、ランドセン | 不安を和らげ、睡眠の質を改善させる |
なお、下の記事ではパニック障害に効果的な薬を詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
→ パニック障害に効果的な治療薬【主な種類や服用時の注意点】
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パニック障害の予期不安における薬の必要性
ここからは、予期不安において薬が必要である理由を、2つにまとめて解説します。
- 日常生活の負担を軽減できる
- 症状の完治に近づける
パニック障害の予期不安は、薬によって消失を目指せます。
日常生活の負担を軽減できる
予期不安に悩むときに薬を服用すると、日常生活の負担軽減を目指せます。
予期不安とは、「外出先でパニック発作が出たらどうしよう」という不安を指すものです。パニック発作が起こる不安から外出が億劫になると、生活の不便さを感じやすくなりますよね。
予期不安は日常生活に制限をかけるものであり、患者さんの自由を阻むことにもつながりかねません。しかし、薬の服用によって症状を軽減させたり消失させたりすることが可能です。
予期不安では、日常生活の負担を軽減させるためにも薬が必要です。
症状の完治に近づける
パニック障害は、薬物治療によって完治や寛解に近づける病気です。そのためには、できるだけ早い段階で適切な薬を服用することが望ましいとされています。
一般的なパニック障害の治療では、まず薬物療法によってパニック発作を消失させます。発作が消失している状態の方が、心理療法といった次の治療も効果を発揮しやすくなるためです。
その後、薬に頼らない対処力の獲得を目指すために次の治療に移ったり並行して取り組んだりします。薬物治療のステップを踏みながら治療を進めていくと、完治に近づきやすくなるため、薬は必要といえるでしょう。
予期不安に効く処方薬と市販薬の違い
パニック障害の薬には処方薬と市販薬があります。その違いは次の2点です。
- 医師の診察や診断の有無
- 症状に対する薬の適切さ
迷った際は、まずは病院での受診がおすすめです。
医師の診察や診断の有無
病院の処方薬は医師の診察と診断のもと処方されるものですが、市販薬にはありません。薬は、適切に服用してこそ効果を発揮するものです。
処方薬は、医師が患者の状態を見たり日常生活の困難さを聞いたりして診断を下し、それに合った薬を処方します。つまり、医師はその患者にとってベストだと考える薬を処方しているのです。
一方、市販薬は患者が自ら選んで購入するものです。特に、まだ診断がついていない段階では、薬選びに苦慮することでしょう。
そもそも、今悩んでいる症状が本当にパニック障害によるものなのか否か、断定することも難しいですよね。市販薬は受診の必要なく手軽に入手できるものですが、リスクも伴います。迷う場合は、処方薬を服用しましょう。
症状に対する薬の適切さ
処方薬と市販薬では、症状に対してその薬が適切かどうか判断する上での難しさも異なります。処方薬は医師の判断によるものであり、効果や副作用次第では相談しながら変更することも可能です。
しかし、自己判断で服用した市販薬は症状に対して適切ではない可能性があります。副作用への対処も自力では難しい場合があるため注意が必要です。
パニック障害の完治や寛解を目指す上でも、まずは病院を受診しましょう。なお、下の記事では、パニック障害の市販薬について詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
→ パニック障害に効果的な市販薬まとめ!服用時の注意点も紹介【症状別】
予期不安に効く薬を服用する際の注意点
パニック障害の治療薬が最大限の効果を発揮するためには、正しく服用する必要があります。ここからは、予期不安に効く薬を服用するときの注意点を、4つにまとめて紹介します。
- 薬の服用方法を守る
- 自己判断で服用をやめない
- 生活習慣を整える
- 市販薬は注意して選ぶ
薬の服用方法を守る
病院で処方された薬は、医師の指示に従って服用しましょう。パニック障害で処方される薬は、患者によってさまざまです。
量や回数、期間など、それぞれの患者に合った処方がされているため、正しく服用することが何よりも大切です。薬は、服用方法を守ってはじめて最大限の効果を発揮します。
医師は、患者の体型や生活習慣、病気の症状などさまざまな要素を加味して、薬の種類や量を決定しています。つまり処方された薬は、その患者にとって最も効くよう考えて処方されたものなのです。
処方時の指示を守らなければ、想定していた効果が得られなかったり副作用が強くなったりする恐れがあります。きちんと効果を得るためにも、服用方法は守りましょう。
副作用でつらいときや薬に疑問を感じる時は、きちんと医師に相談してくださいね。
自己判断で服用をやめない
パニック障害の薬を自己判断で中断することはやめましょう。突然中断すると、離脱症状に苦しむリスクがあります。
パニック発作や予期不安が落ち着いている日々が続くと「もう薬をやめてもいいじゃないかな」と思いますよね。症状に困る機会が減れば、次第に通院の手間や薬代が負担に感じるかもしれません。
しかし、自己判断で薬を急にやめると、離脱症状が起きたり再発のリスクが上がったりします。断薬は、医師の指示のもと段階的に行うのが基本です。
自己判断で服用をやめず、そのような思いがあることを主治医に相談してみましょう。
生活習慣を整える
薬物療法に取り組む上で欠かせないのは、生活習慣を整えることです。生活リズムの乱れはパニック障害の要因の一つと考えられています。
パニック障害の原因は特定されておらず、さまざまな要因が絡み合って起こると考えられています。生活習慣もその一つであり、軽んじることはできません。
食事、睡眠のリズムを整え、ストレスを溜めないよう休息も意識しましょう。アルコールと煙草は、パニック障害の症状悪化につながるとされているため控えるのが賢明です。
なお、下の記事ではパニック障害の人がやってはいけないことを紹介しているので、あわせて参考にしてください。
→ パニック障害の人がやってはいけないこと!避けるべきものも紹介
市販薬は注意して選ぶ
さまざまな事情により市販薬を選択する際は、注意して選びましょう。市販薬は手軽な反面、リスクも伴うものです。
自己判断で選んだ市販薬が誤っていると、症状が悪化したり長期化したりするリスクが想定されます。また、薬への依存性や副作用に自力で対処することは困難です。
特に、病院でパニック障害との診断を受けていない状態で薬を選ぶのは、非常に危険です。パニック障害の症状は、他の病気と似ていることがあります。誤った薬を飲む期間が長くなればなるほど、適切な治療が遅れてしまうでしょう。
さらに、カフェインや興奮作用のある成分が入った市販薬はパニック発作を誘発する可能性があります。現在、他の薬を服用している場合は、その薬との飲み合わせも考慮しなければなりません。
市販薬は本当に症状に合った薬なのか、副作用はどのようなものか、自力では把握したり対処したりできなかったりします。このようなリスクを回避するためにも、病院受診後の処方薬を服用できると安心です。
なお、下の記事では、パニック障害の薬の選び方について詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
パニック障害の予期不安にまつわる疑問
最後に、パニック障害の予期不安にまつわる次の3点の質問についてお答えします。
- 薬を服用するとどれくらいで楽になる?
- 予期不安は薬なしで対処できる?
- 薬に頼らない予期不安の治療法はある?
薬を服用するとどれくらいで楽になる?
急性の予期不安は、抗不安薬を服用すると30分〜1時間程度で効果が現れることが期待できます。
長期的には抗うつ薬(SSRI)を服用し、症状が強いときのお守りとして抗不安薬を服用することが一般的です。両者の特徴や効果をうまく活用できるとよいでしょう。
予期不安は薬なしで対処できる?
予期不安は、生活習慣を改善したり心理療法を受けたりすることで、薬なしでも一定の効果を期待できます。
しかし、これらの治療はパニック発作が起きていない状態でこそ本来の効果を発揮するものです。ときには、心理療法よりも先に薬によって症状を消失させることが先決と判断されるケースもあります。
急に襲来する予期不安やパニック発作には、抗不安薬が効果的です。薬は、日常生活の負担を軽減したり完治を目指したりする上で必要な場合があります。
薬に頼らない予期不安の治療法はある?
はじめから薬に全く頼らないのではなく、正しく服用しながら心理治療を並行することで、徐々に薬に頼らない生活を目指しましょう。
一般的なパニック障害の治療は、薬物療法と心理療法を並行して行います。薬物療法によって症状を消失・コントロールできるようになったら、心理療法で症状に対処する力を身につけます。
パニック障害治療で用いられる主な心理療法は、認知行動療法です。認知行動療法とは、ストレスや困難に直面したときに、考えや行動を柔軟に変えて負担軽減を目指す治療です。
認知行動療法によって、ストレス場面に自分で対処できる力が身につけば、薬に頼らない生活にも期待できるでしょう。
パニック障害の改善法をより詳しく知りたい人は次の動画を参考にしてください。
また、パニック障害で不安になる原因を詳しく知りたい人は、下の動画も参考にしてください。
まとめ
本記事では、パニック障害の予期不安に効く薬や注意点、さらに市販薬との違いなどを詳しく紹介しました。
予期不安の消失には薬物療法が有効であり、医師の処方のもと適切に服用できると安心です。段階を経て、薬に頼らない生活を目指していきましょう。
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