この記事では関係性も交え、更年期のパニック障害に効く薬を紹介します。
更年期のパニック障害に効く薬はあるの?
今以上に症状が悪化しないか不安…
パニック障害に悩む人のなかには、更年期を迎えることに不安を感じている方もいますよね。つらいパニック障害の症状があるからこそ、年齢を重ねてもできるだけ穏やかに過ごしたいはず。
パニック障害と更年期障害は併発することもあります。しかし、2つの症状に対し効果的な薬も存在します。事前に効果のある薬を知っておくことで、いざという時に適切な対処が可能です。
そこで、本記事では理由も交え、更年期のパニック障害に効く薬を紹介します。あわせて、更年期障害とパニック障害の関係性も解説するので、参考にしてください。
- 更年期のパニック障害にはSSRやSNRIが効く
- 更年期のパニック障害には漢方も効果的
- 症状を改善するには生活習慣の見直しが重要
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更年期のパニック障害に効く薬
さっそく、更年期のパニック障害に効く薬を、3つにまとめて紹介します。
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
- ベンゾジアゼピン系抗不安薬
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、パニック障害の主要な治療薬の1つです。代表的なものには、パロキセチンやセルトラリンがあります。
SSRIは、脳内のセロトニン濃度を高めて不安や恐怖を軽減し、パニック障害の症状を抑えてくれます。
SSRIは効果が出るまで数週間かかる場合があり、初期にはあまり効果を実感できないのが特徴です。しかし、ほとんどの場合は、徐々に効果が見られるでしょう。
副作用で消化器症状を起こすケースもありますが、徐々に軽減してきます。症状の回復を急ぐ場合は、抗不安薬と併用する方法もあります。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、パニック障害の治療でSSRIに次いで重要とされる薬です。SNRIの効果は、気分や意欲、集中力などに大きくかかわるセロトニンやノルアドレナリンの調整です。
SNRIには、ベンラファキシンやデュロキセチン塩酸塩が含まれています。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑制し、パニック発作に起こりやすい不安やパニック発作を軽減してくれます。
個人差がありますが、消化器症状や発汗、めまいなどが副作用です。即効性には長けていないため、抗不安薬を併用するケースもあります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、不安や緊張を和らげる効果がある薬です。GABAという脳の神経伝達物質に働きかけ、不安や緊張を抑制します。
即効性があり、パニック発作や予期不安の際に高い効果を発揮します。とくに症状が著しいときに、頓服薬として処方される場合があります。
長期的に使用すると依存性や薬剤耐性が出現するケースがあるため、服薬には主治医の指示を守った適切な服用が必要です。ベンゾジアピン系抗不安薬は、パニック障害の治療に非常に高い効果をもちます。
急性の発作を迅速に鎮静する効果がある「ベンゾジアゼピン系の抗不安薬」は、一時的な治療としてが使用されるケースもあります。
ただし、依存するリスクがあるため長期的な使用は避けるべきです。
また、下の記事ではパニック障害に効果的な治療薬を紹介しているので、あわせて参考にしてください。
→ パニック障害に効果的な治療薬【主な種類や服用時の注意点】
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更年期のパニック障害には漢方も効果的
ここまで、更年期のパニック障害に効く薬を紹介しました。ただし、実のところ更年期のパニック障害には漢方も効果的です。
漢方は、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の不安定さを改善してくれます。また、西洋薬に比較して依存性や副作用が少ないというメリットもあります。
更年期のパニック障害に漢方が効果的な理由は、ホルモンバランスを整えてくれる働きがあるからです。ホルモンバランスが整えば、心身のリラックスが期待できます。
漢方薬のメリットとデメリット
漢方薬は自然の生薬を組み合わせて作られた医薬品です。漢方薬には西洋薬と異なる特徴があり、次の表のようにメリットとデメリットがあります。
メリット | ・依存性が少ない ・生薬由来のため副作用が少ない ・症状の緩和だけでなく体質改善も期待できる ・複数の症状を総合的にとらえる |
デメリット | ・即効性がない ・味やにおいが独特 ・オーダーメイドの場合高額になる可能性がある |
漢方薬は依存性や副作用が少なく、身体に合わせて細かい調整ができるメリットがあります。一方、効果を発揮するまでには時間がかかり、こだわると費用が高額になることはデメリットです。
漢方が向いている人の特徴
漢方薬の治療が向いている人は、比較的軽症で時間に余裕がある方です。その理由は、漢方薬はじっくりと時間をかけて総合的に症状を見ながら、身体を改善方向へ導いてくれるからです。
また、西洋薬への依存や身体への悪影響を不安に思う方もいるかもしれません。漢方薬は、西洋薬の服用に抵抗がある方にもおすすめです。
西洋薬に即効性はありますが、治療が長引けば身体への負担が気になるでしょう。漢方の選択肢を治療に取り入れることで、新たな解決策が見つかる可能性があります。
更年期のパニック障害におすすめな漢方
ここからは、更年期のパニック障害におすすめな漢方を、厳選して5つにまとめて紹介します。
- 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
- 柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
- 抑肝散(ヨクカンサン)
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
なお、下の記事では上記を含め、ランキング形式でパニック障害に効くおすすめの漢方を紹介しているのであわせて参考にしてください。
→ パニック障害に効く漢方ランキングTOP8!飲み方や注意点も紹介
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
半夏厚朴湯は、パニック障害におすすめな漢方のうちの1つです。気分の落ち込み、動悸やめまいなどの症状を和らげてくれます。
半夏厚朴湯の効果は「気」のめぐりの改善と、のどのつかえ感や不安症状の緩和です。小さなことが気になる方や、ストレスをためがちな方に適しています。
副作用には、発疹や眠気、かゆみなどが報告されています。気になるような症状に気づいたら、主治医もしくは薬剤師に相談するようにしてください。
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安や不眠、動悸などを解消する効果を持つパニック障害の治療におすすめの漢方です。
体内の余分な熱を覚まし、自律神経と気の巡りを整えることで脳を鎮める力を持ちます。副作用にはかゆみ、間質性肺炎、肝機能障害があります。
気の流れを整えてくれる柴胡加竜骨牡蛎湯は、パニック障害の治療に役立つ漢方薬です。
柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
パニック障害の治療におすすめの漢方には、柴胡桂枝乾姜湯があります。柴胡桂枝乾姜湯は、パニック障害の動悸や息切れ、気疲れなどの症状に効果がある漢方です。
比較的虚弱な傾向のある方に向いており、ホットフラッシュや更年期の疲れやすさに使用されます。
柴胡桂枝乾姜湯には疲れをゆるめ、興奮を鎮める効果があります。身体や口の潤いを保ち、血の道症や冷え性など女性の不調に寄り添う漢方です。
副作用には発疹、発赤、吐き気などが挙げられます。女性特有の症状にも対応しているため、柴胡桂枝乾姜湯はパニック障害の治療に有効です。
抑肝散(ヨクカンサン)
抑肝散は、更年期のパニック障害におすすめの漢方薬です。理由は、イライラや怒りっぽさ、不眠といった神経の高ぶりを鎮める効果があるからです。
抑肝散は、イライラしやすい人、不眠で悩む人や自律神経が不安定な人に処方されます。更年期障害でイライラしやすく、不眠を抱えている方にぴったりな漢方です。
抑肝散は複数の生薬から構成されています。代表的な生薬は、柴胡、芍薬、甘草などです。生薬が組み合わされることで相乗効果を発揮します。
副作用は少ないとされていますが、胃腸の不快感や発疹などの副作用もあるため注意が必要です。
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
更年期のパニック障害に効果的な漢方の1つが、加味逍遥散です。なぜなら、更年期のイライラや不眠、月経痛などさまざまな女性特有の不調に応えてくれるからです。
芍薬や当など複数の生薬で構成されており、生薬の組み合わせにより、血のめぐりを改善して心を静める効果があります。報告は少ないとされていますが、胃腸の不快感や発疹などが副作用です。
女性の悩みや心の波立ちが気になるときは、加味逍遥散がおすすめです。
更年期障害とパニック障害の関係性
更年期障害とパニック障害は、どちらも女性に多く見られ、混同される場合があります。しかし、両者は異なる疾患です。
更年期障害を抱えている人が、パニック障害を発症する可能性は高いといわれています。ここからは、更年期障害とパニック障害の関係性を、3つの視点から解説します。
- 更年期障害の症状
- 更年期におけるパニック障害の発症率と原因
- パニック障害と更年期の違い
更年期障害の症状
更年期障害の代表的な症状は、主に次の4つです。
- 血管運動症状:ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、冷え、発汗など
- 自律神経症状:めまい、動悸、頭痛、肩こり、不眠など
- 精神症状:イライラ、不安、うつ、情緒不安定、集中力の低下など
- 身体症状:関節痛、筋肉痛、骨の痛み、乾燥肌など
そのほか、性機能低下や泌尿器症状、消化器症状を起こす場合もあります。人によって症状はさまざまであることが特徴です。
更年期におけるパニック障害の発症率と原因
更年期にパニック障害が起こる原因は、まだ完全には解明されていません。閉経に伴うホルモンバランスの変化、自律神経の乱れやストレスが主な原因とされています。
女性ホルモンであるエストロゲンが減少する理由の1つが、閉経です。閉経によって脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、不安やパニック発作を起こしやすくなります。
また、家族にパニック障害を発症した方がいると、発症リスクが高まるといわれています。
更年期のパニック障害の正確な発症率は、さまざまな要因が絡みあうため断定することは困難です。しかし、更年期の女性がパニック障害を発症するケースは多い傾向にあります。
パニック障害と更年期障害の違い
パニック障害と更年期障害は、発症年齢や症状に違いがあります。似ている症状もありますが、疾患が違うため治療法も異なります。表にまとめていますので、参考にしてください。
発症年齢 | 身体的症状 | 精神的症状 | |
---|---|---|---|
更年期障害 | 45~55歳ごろに多い | 頭痛、動悸、腰痛、めまい ホットフラッシュ(ほてり/のぼせ)など | 情緒不安定、憂うつ感、不眠 倦怠感、イライラ、集中力の低下 など |
パニック障害 | 10~40代 | 突然の激しい動機、息苦しさ めまい、はきけ など | ・死ぬかもしれないと思うほどの苦痛 ・また発作を起こすかもしれない不安 ・特定の場所や状況を避ける広場恐怖 |
なお、下の記事では更年期とパニック障害が併発したときの対処法を紹介しているので、あわせて参考にしてください。
→ 更年期とパニック障害が併発した時の対処法【症状の違いと乗り越え方】
更年期のパニック障害で注意すべきこと
ここからは、更年期のパニック障害で注意すべきことを、3つにまとめて紹介します。
- 薬を自己判断で調整しない
- アルコールやカフェインをとりすぎない
- 不規則な生活をしない
薬を自己判断で調整しない
更年期のパニック障害で注意すべき点は、薬を自己判断で調整しないようにすることです。なぜなら、自己判断で調整することで、身体のなかのバランスが崩れパニック障害を悪化させてしまうためです。
「症状がよくなってきたから飲むのをやめる」「きついからいつもの2倍飲む」といった行為は非常に危険なため推奨されません。
場合によっては、症状が再発してしまうこともあります。処方された量を正しい用法で、正しく服用することが大切です。
薬の調整は一人でおこなわずに、主治医へ相談するようにしましょう。
アルコールやカフェインをとりすぎない
アルコールやカフェインをとりすぎないことは、更年期のパニック障害で注意すべきことの1つです。なぜなら、アルコールやカフェインをとりすぎると、神経が高ぶり、結果的に不安を強めてしまうからです。
更年期はライフスタイルの変化が起きやすい年齢であり、アルコールやカフェインを過剰摂取するようになる方もいます。発症や悪化の誘発には個人差がありますが、とくにアルコールは控えておいた方がいいでしょう。
含有量の多いものを下にまとめています。パニック症状に影響する可能性があるため注意が必要です。
アルコール | お酒 栄養ドリンク ノンアルコールドリンク(微量に含まれている製品がある) 洋菓子、チョコレート 漬物 |
カフェイン | コーヒー エナジードリンク ウーロン茶 緑茶 紅茶 |
なお、下の記事ではパニック障害にアルコールやカフェインが良くないとされる理由を紹介しているので、あわせて参考にしてください。
→ パニック障害にアルコールが良くない理由!摂取量の目安も紹介
→ パニック障害にカフェインが良くない理由!摂取量の目安も紹介
不規則な生活をしない
不規則な生活は自律神経を乱し、ストレスを増加させ、パニック障害に悪影響を及ぼします。パニック発作が起こると不安や恐怖が強まってしまい、ますます不規則な生活になりがちです。
悪循環に陥らないためには規則正しい生活を送ることが大切です。健康的な身体づくりのためには、次の4つが大切です。
- 睡眠
- 食事
- 適度な運動
- リラックス
忙しい時や疲れているときほど、自分の身体を省みることが難しいものです。不規則な生活をしないためにも、十分な睡眠や食事が取れているか振り返るようにしましょう。
まとめ
本記事では、更年期のパニック障害に効く薬を理由も交え、紹介しました。更年期のパニック障害の薬物療法には、西洋薬と漢方薬が使用されます。
症状の緩和について希望があれば主治医に相談しましょう。更年期のパニック障害は、治療によって改善が期待できます。
また、どちらの症状も予防が可能です。一人で悩まず、適切な治療を受けましょう。 本記事があなたのお役に立てることを願っております。
なお、周りにパニック障害について話せる人がいないと悩んでいる方は、不安・パニック障害に悩む7万人の方が参加する、不安パニック専門のオンラインサポートコミュニティ「nicot+(にこっとプラス)」にご参加ください。
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