この記事では効果的な理由や注意点も交え、パニック障害はジョギングで治せるのか、その実態を解説します。
「パニック障害にジョギングがいいって本当?」
「ジョギングでパニック発作を起こしてしまわないか心配…」
パニック障害に悩んでいる方のなかには「パニック障害がジョギングで治った」といった噂を聞き、真実が気になっている方は多いですよね。
結論、パニック障害を治すためには運動、とくにそのなかでもジョギングが効果的です。ジョギングを習慣化するだけで、パニック障害の症状を緩和させることができます。
ただし、やり方を誤ると発作を招く危険性もあるため注意が必要です。また、なかには「運動が苦手…」「本当に走って大丈夫なのかな」と感じている方もいるでしょう。
そこで、本記事ではジョギングが良いとされる理由をわかりやすく解説します。あわせて、ジョギングをおこなう際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- パニック障害の運動療法にはジョギングがおすすめ
- 発作を起こした場合に備えて連絡手段や水分の確保が必要
- ゆっくりしたスピードで、短時間の近距離から始めよう
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パニック障害を治すためにジョギングが良いとされる理由
早速、パニック障害を治すためにジョギングが良いとされる理由を、4つにまとめて解説します。
- 運動耐容能が増加する
- 曝露療法になる
- 血行を促進しストレスホルモンを低下させる
- 自己管理能力が向上する
運動耐容能が増加する
パニック障害にジョギングが良いとされているのは、運動耐容能の増加が大きな理由のひとつです。運動耐容能とは、簡単にいうと「どれくらいの運動に耐えられるか」を表す言葉です。
日経メディカルでは、ランニング療法には抗うつ薬と同等の効果があると報告しています。ランニングにより、セロトニンやエンドルフィンといったストレスを軽減するホルモンが分泌されるためです。
また、心身医の論文ではパニック障害患者は運動能力を有するものの、運動耐容能は健常人に比較して低下しているという報告があります。
運動耐容能を左右するのは、心臓や肺、筋肉などの器官の働きです。運動耐容能を高めることは「きつい」「苦しい」と感じるハードルを上げることにつながります。結果として体力がつき、パニック障害の症状を感じにくくなります。
曝露療法になる
ジョギングがパニック障害に良いとされるのは、ジョギングの運動の強さが曝露療法にあたるためです。曝露療法とは、パニック障害を治すために効果的な手段です。
意図的にパニック発作に似た状態を作り出すことにより、体や心の耐性を向上させる効果があります。
「このくらいのつらさなら経験したことがあるから大丈夫」と強い精神力をもつことは、発作を克服するチャンスになります。自分でつらさや距離を調整できるジョギングは、曝露療法としても取り組みやすいメニューといえます。
ただし「不安な感覚が苦手」、「苦しいと発作を起こしやすい」方は、ジョギングが向いていない可能性があるため注意が必要です。
血行を促進しストレスホルモンを低下させる
ジョギングは血の巡りだけでなく、セロトニンやエンドルフィンなどのリラックスホルモンを促します。血行を促進し、ストレスホルモンを低下させることから、ジョギングはパニック障害に良いとされているのです。
また、ジョギングを始めると身体は運動というストレスを感じ、一時的にコルチゾールを分泌します。コルチゾールとは、ストレスを感じた時に分泌されるホルモンのことです。
運動後にはコルチゾールの分泌量が低下し、代わりにセロトニンやエンドルフィンなどが分泌されます。結果としてコルチゾールの分泌が過剰になるのを防ぎ、ストレスに対する耐性を上げるのです。
平成医療短期大学リハビリテーション学科理学療法専攻の河合氏は、運動がメンタルヘルスに効果的だと報告しています。また、セロトニン神経を活性化させる因子にウォーキングやジョギングといった、リズム性運動が推奨されることも述べています。
パニック障害を治すためには、自律神経の安定や、不安感受性の低下が期待できるジョギングがおすすめです。
自己管理能力が向上する
パニック障害を抱える人がジョギングをおこなうと「運動ができた」という経験が自信につながります。発作が起こりそうになっても、経験から「これくらいのきつさなら大丈夫」と認識を変えられるためです。
定期的な運動習慣は、心身にいい影響をもたらすばかりでなく、生活リズムを安定させます。運動により脳内の神経伝達物質であるエンドルフィンが分泌されるため、リラックス効果が期待できます。
自己管理能力が向上すると、結果としてパニック障害を治すことにもつながるでしょう。手軽に始められ、自己管理能力の向上を図る手段として、ジョギングが効果的です。
パニック障害を持ちながらジョギングをおこなう際の注意点
ここでは、パニック障害をもちながらジョギングをおこなう際の注意点を、4つにまとめて解説します。
- 緊急時の連絡手段を確認しておく
- 無理しない
- 水分補給する
- 主治医に相談する
ジョギングは身体に負荷をかけることであり、発作を絶対に起こさない保証はありません。そのため、ジョギングを始める前に上記のポイントに注意しましょう。
緊急時の連絡手段を確認しておく
ジョギング中に発作を起こした場合に備えて、緊急時の連絡手段を確認しておくことが大切です。激しい強さではないとはいえ、ジョギングは心臓や肺の機能に負荷をかける運動であるためです。
発作のリスクを減らしたジョギングをおこなうためには、最初は自宅の周辺から始めましょう。人通りの多い場所や、緊急時に助けを呼びやすい施設をルートに組み込むこともおすすめです。
また、緊急連絡先を登録した携帯電話をもつことを推奨します。信頼できる人に行き先や戻る時間などの予定を伝えておくと、安心につながります。
無理しない
パニック障害の有無にかかわらず、体調が悪いときのジョギングは避けるようにしましょう。なぜなら、体や心からのSOSサインを無視して運動すると、発作のトリガーやストレスの原因になるためです。
パニック障害の方のなかには、完璧主義で自分に厳しい考えをもっている方がいます。また、不安やストレスを感じやすいといった特性もあります。
性格には個人差がありますが、調子が悪いときには無理に意思を貫かず、休憩することも大切です。
自分の体のコンディションだけでなく、天気や気温などもチェックして、運動そのものが負担にならないようにしましょう。
水分補給する
パニック障害のある方がジョギングを楽しむには、こまめな水分補給が大切です。ジョギング中の発汗や喉の渇きが、パニック発作を誘発する可能性があるためです。
過剰な水分摂取は必要ありません。携帯用ボトルを持ち歩き、自分の体調や気温にあわせて水分補給をおこないましょう。少量ずつ飲むことは不安感を軽減し、精神的な安定につながります。
おすすめの飲み物は、水や経口補水液、スポーツドリンクです。カフェインの入っている飲料は脱水症状を悪化させたり、心拍数を上げたりする可能性があるため控えましょう。
なお、下の記事ではパニック障害におすすめの飲み物を解説しているので、あわせて参考にしてください。
主治医に相談する
ジョギングを始める前に、主治医へ相談することが大切です。主治医は、ジョギングが心身に及ぼす影響や、現在おこなえる状態にあるかどうかをチェックしてくれます。
ほとんどの場合、心地よくおこなえる程度の運動は推奨されますが、運動療法にも限界があります。やればやる程、改善に向かうものではないため過信は禁物です。
また、日常生活に制限はなくても、心臓や肺に負担がかかる運動に制限がかかることもあります。たとえば症状が重度である、頻繁に発作を起こすなどの場合はジョギングが適応にならない場合があります。
現在の症状でジョギングをおこなってよいかは、主治医に確認してください。
パニック障害におすすめのジョギングの段階的なSTEP
運動が大切とわかっていても「最後に走ったのはいつだったかな?」と不安になる方もいますよね。「いきなり走っても大丈夫なのかな…」そんな思いを抱えているのではないでしょうか。
そこでここからは、無理なく実践できるジョギングの始め方を3つのステップにまとめて紹介します。
- STEP1:無理のないペースで始める
- STEP2:インターバルトレーニングを取り入れる
- STEP3:連続して長い距離を走る
いきなり走るところから始めなくても、ジョギングはスタートできます。運動習慣がない方の場合は、まず歩くことから始めましょう。
STEP1:無理のないペースで始める
最初は、無理のないペースで始めましょう。まずウォーミングアップに5分程度のストレッチや軽い運動で体をあたため、ケガを予防することが大切です。
腕を大きく振り、大股で早歩きの「スタスタウォーキング」を15分〜20分から開始します。慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしていきます。深呼吸を意識しながら、リラックスしておこなうことが大切です。
回数や時間は、月・水・金の週3回、平日は30分、休日の場合は60分を目安にしましょう。
STEP2:インターバルトレーニングを取り入れる
ステップ1に慣れてきたら、つぎはインターバルを取り入れます。インターバルトレーニングとは、ウォーキングとジョギングを交互におこなう方法です。
速いペースと遅いペースを交互に組み合わせることで、心肺機能の向上が期待できます。最初は、短い時間から始めましょう。
15分間の「スタスタウォーキング」に続けて、1〜3分の短いウォーキングとジョギングを繰り返します。慣れてきたら、ジョギングの時間を少しずつ増やしていきます。ここでもできれば週3〜4回の頻度を維持しましょう。
自然のなかで走ると五感が研ぎ澄まされ、リラックス効果が高まります。ゆっくり自分のペースでおこなうことが大切です。
STEP3:連続して長い距離を走る
インターバルトレーニングで鍛えた心肺機能を生かし、連続して長い距離を走る習慣を始めます。注意しなければならないことは、医師から運動制限を告げられている場合、それに従うことです。
自分のペースがつかめてきたら、週末に1〜3kmのロングランを取り入れるなど、週に1度は長めの距離を走る時間を設けてみるといいでしょう。
基本的に平日は5分間の「ラン&ジョグ」、休日は10分間の「ラン&ジョグ」を各3セット。以降はジョグの時間を徐々に延ばしていくようにします。週3〜4回の継続が理想的です。運動のあとは、必ず5分程度のクールダウンをおこないましょう。
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実際に、本動画を視聴した91%の方が症状の改善を実感しています。パニック障害を克服する効果的な改善方法を詳しく知りたい方は、ぜひ一度お試しください。
パニック障害のジョギングにまつわるよくある質問
最後に、パニック障害のジョギングにまつわるよくある質問にまとめて回答します。
- パニック障害には他にどんな運動がおすすめ?
- パニック障害でも運動はしていいの?
パニック障害にはほかにどんな運動がおすすめ?
ジョギングのほかには、ストレッチやウォーキング、サイクリングなどがおすすめです。パニック障害の方におすすめの運動と理由を下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
<運動の種類とおすすめな理由>
運動の種類 | 理由 |
---|---|
ストレッチ・ウォーキング | ジムに出かけなくてもできる運動負荷はジョギングより少なめ |
体幹トレーニングヨガ・ピラティスなど | ジムも自宅も選べるYouTubeで取り組めるものもある |
水泳 | 浮力があり、身体への負担が少ない水によるリラックス効果がある心肺機能と持久力をゆっくり鍛えられる |
サイクリング | 五感を刺激して気分転換につながるリズム感のある有酸素運動にあたる持久力を鍛えられるため |
なお、下の記事でも運動がパニック障害に与える効果やおすすめの方法を解説しているので、あわせて参考にしてください。
パニック障害でも運動はしていいの?
結論からいうと、パニック障害でも運動はすべきです。むしろ、息が弾む程度の、心地よい有酸素運動が推奨されていることがほとんどです。
始めは短い時間や軽い運動から始め、徐々に強さや時間を増やすようにします。また、運動の場合は発作に備えて安全な場所を選び、周囲にトレーニングをしていることを伝えましょう。
発作のような不安感や苦しさを感じたときに、「きついのは、運動しているからだ」と思い込むことも効果的です。パニック障害を乗り越えるマインドには「大丈夫だと信じる」や「気にしない」といった気持ちが大切です。
心身の状態に気持ちを向けすぎず、心地よいと感じる運動の継続が推奨されます。
まとめ
本記事では、パニック障害を治す運動療法として、ジョギングがおすすめであることを解説しました。運動習慣がない方でも、体を動かす機会をもつことが大切です。
爽快感を感じる程度の運動は自信につながり、発作を遠ざけます。「運動をしたからきつかったんだ」と思えるようになれば、新しい生活のきっかけになるでしょう。
この記事が、パニック障害の改善に役立つことを願っています。
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