この記事では快適に働くコツも交え、不安障害の人に向いている仕事・働き方を解説します。
- 不安障害の95%は仕事に悩みや不安を抱えている
- 不安障害でも快適に働くには自分のペースで進められる環境が良い
- 図書館職員や事務職、清掃スタッフなどの仕事がおすすめ
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不安障害を持つ人の95%は仕事に悩みを抱えている
不安障害を持つ人の95%は、仕事に悩みを抱えています。実際に、障がい者総合研究所の調査では精神障害を持つ方の95%が仕事について何らかの悩みを抱いていました。
不安障害は精神障害の1つに含まれるため、不安障害を持つ方が仕事に関して悩みを抱えている状況がうかがえます。
また同調査における「職場に相談しやすいか」という質問に対しては、72%がいいえと回答しました。本調査から、精神障害を患う方の多くは社内に悩みを相談できずに働いているのがわかります。
なお、仕事に悩みを抱えているのは不安障害の方に限ったことではありません。
厚生労働省が実施した「労働安全衛生調査」によると、働く人の82%が仕事で悩みやストレスを感じていると回答しています。つまり、誰もが仕事に悩みや不安を抱えているといえます。
自分の不安だけが特別ではないと知ることで、少し気持ちが楽になるでしょう。
不安障害を持つ人が仕事で抱える悩みへの解決法
ここからは不安障害を持つ人が仕事で抱える悩みへの解決法を、4つにまとめて紹介します。
1.「仕事が怖い」と感じた時の対処法
「仕事が怖い」と感じた時は、休息をとる時間を確保しましょう。数時間の休憩でも良いですし、必要であれば休暇を取ることも検討してください。
信頼できる家族や友人、職場の同僚に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。言葉に出して不安な気持ちを共有すれば、感情が整理されて客観的に状況を見つめられるようになるのです。
また、抱えているタスクを細かく分解し、1つずつ順番に取り組むようにすると「これだけやればいい」と目の前の作業に集中しやすくなります。大きなタスクを細かく分けると達成感が得られ、自信につながります。
「怖い」という感情が治まらない時は、病院や相談窓口に相談することも考えてみましょう。
2.「仕事ができない」と落ち込んだ時の捉え方
「仕事ができない」と自分を責めて落ち込んでしまう時は、不安な気持ちを否定せずに一度受け止めることから始めましょう。
「今、自分は仕事に対して不安を感じているんだな」と客観的に捉えることで、気持ちとの間に距離を置けるようになります。気持ちとの距離ができると、凝り固まった考え方から解放され、柔軟な考え方ができるようになるのです。
また、客観視することで感情に飲み込まれず、冷静に対処する第一歩となります。不安な気持ちを認めつつ距離を置いて開き直れば、ネガティブな思考にとらわれ続ける時間を減らせます。
不安障害に開き直りは効果的かを詳しく知りたい方は下の記事を参考にしてください。
3.仕事が続かない時はどうすればいい？
不安障害の症状によって仕事が続かない時は、現在の仕事内容や働き方が自分の症状や特性に合っていない可能性があります。
まずは、どのような時に働くのが難しくなるのか、具体的な状況や原因を整理してみましょう。原因を明確にすると、漠然とした不安が具体的な課題として捉えられ、対策を立てやすくなります。自分の苦手を理解することは、適切な環境を選ぶ上で必要です。
その上で、今の職場で業務内容の調整や働き方を変更できるか相談してみることも1つの方法です。会社に相談すれば業務量の調整や勤務時間の変更など、症状に合わせた配慮を受けられる可能性があります。
職場に相談しても改善されない時は、自分のペースで働ける別の職種・働き方を探すことも視野に入れてみてください。ハローワークや就労移行支援事業所などの専門機関に相談すると、仕事探しや働き方について具体的なアドバイスが得られます。別の職場で働きたいと思ったら頼ってみると良いでしょう。
4.不安障害は会社に伝えるべき？
不安障害であることを会社に伝える義務は、法律上定められていません。
労働契約法や労働安全衛生法などの法律には、体調不良を必ず会社に報告しなければならないという規定はないためです。ただし、会社の就業規則で心身の不調に関する報告が推奨されているケースもあります。
会社に伝えるかどうかは、症状の程度や仕事をする上でどのような配慮が必要かを考慮して判断することが大切です。もし伝える時は、必要な配慮を具体的に伝えられるように準備しておくと良いでしょう。会社側もどのようなサポートが必要か理解でき、適切な配慮を検討しやすくなります。
不安障害を会社に伝えるべきかを知りたい方は下の記事を参考にしてください。
不安障害の人におすすめの仕事3選
ここでは不安障害の人におすすめな仕事を、3つにまとめて紹介します。
不安障害を持つ方が快適に仕事へ取り組むには、プレッシャーや対人ストレスが少なく、自分のペースで作業を進められる環境での仕事がおすすめです。業務内容が明確でルーチン化しやすい仕事を選ぶのも良いでしょう。
なお、どう自分に合う仕事を見つければいいのかわからない方は、次のチェックリストを参考にしてください。
- 突発的な対応や電話応対が少ない
- 作業内容が明確で、ルーチン化できる
- 自分の体調に合わせて調整できる
- 人間関係が安定している
- リモートや時短勤務ができる
図書館職員
図書館職員は、不安障害の人におすすめの仕事の1つです。
静かな環境で仕事に取り組めるため、騒がしい場所が苦手な方や集中して作業したい方に向いています。利用者への対応はありますが、一般的には1人で黙々と作業する時間が多く、対人関係によるストレスを感じにくい傾向があります。
書籍の貸し出しや返却手続き、本の整理などがおもな業務となり、業務内容が明確でルーチン化しやすい点も不安を感じにくい理由の1つです。
図書館職員は契約職員やパート・アルバイトの募集もあるため、働き方を選びやすい仕事です。
ただし、公共機関のため昇進やキャリアアップの機会が限られる可能性がある点には注意が必要です。
事務職
不安障害の人におすすめの仕事には、事務職があります。
オフィス内でデスクワークを中心に行うため、比較的落ち着いた環境で働けるのです。電話応対や来客対応もありますが、書類作成やデータ入力など定型的な業務が多く、仕事の進め方が決まっている点が不安を感じにくい理由として挙げられます。
チームで協力して仕事を進めることもありますが、個人の裁量で進められる業務もあるため、自分のペースを守りやすいです。
ただし、会社や部署によっては突発的な業務や電話応対が多く発生するケースがあります。人間関係が固定されやすいため、特定の人間関係にストレスを感じると逃げ場が少ないと感じるかもしれません。
会社によっては、時短勤務やリモートワークなどの選択肢があります。自分に合う働き方を選ぶと良いでしょう。
清掃スタッフ
清掃スタッフの仕事は、不安障害の方におすすめです。1人で黙々と作業に集中できる時間が多いため、対人関係のストレスを避けたい方に向いています。
オフィスビルや商業施設、病院などさまざまな場所で募集があります。決められた手順やマニュアルに沿って清掃するため、業務内容がシンプルで分かりやすい点が特徴です。また、体を動かす作業は気分転換にもなるでしょう。
早朝や夜間など人の少ない時間帯を選んで働けるため、自分の体調やライフスタイルに合わせて調整しやすい働き方といえます。
ただし、清掃スタッフの仕事は肉体労働のため、体力的な負担が大きい点には注意が必要です。清掃場所によっては不特定多数の人が出入りするため、予期せぬ状況に遭遇する可能性も考慮しておきましょう。
不安障害の人におすすめの働き方3選
ここでは不安障害の人におすすめの働き方を、3つにまとめて紹介します。
不安障害を持つ方が心地よく働くには不安を最小限に抑え、自分のペースで働ける環境を整えることが大切です。柔軟な働き方を選び仕事による負担を減らし、より長く働き続けることにつながります。
たとえば、長時間労働やシフト制で体調が不安定になりやすい飲食業や接客業は避けるのが賢明です。他にも、常に結果を求められるプレッシャーの強い営業職、人前に立つ機会が多い講師や司会業などがあります。
自分の症状や苦手なことを考慮して、どのような働き方なら安心して取り組めるかを考えてみましょう。
在宅勤務（リモートワーク）
在宅勤務は自宅で仕事ができるため、通勤ラッシュの電車や人混みなど外出に伴うストレスを避けられる点がメリットです。
外出が苦手な方にとって、在宅勤務は不安を感じにくい働き方といえます。もし仕事中にパニック発作が起きても、自宅であれば周囲を気にすることなく落ち着くまで対応できます。
自分の慣れた環境で、休憩のタイミングや作業の進め方を調整しやすい点も体調の波がある方には助けとなるのです。Webライター、データ入力、プログラマーなど職種によっては在宅での勤務が可能です。
ただし、なかには在宅勤務で「仕事とプライベートの切り替えが難しい」と感じる人もいます。長時間労働につながり、かえってストレスをためてしまうでしょう。また、同僚とのコミュニケーションが不足し、孤立感を感じやすくなります。
時短勤務・フレックスタイム制
時短勤務やフレックスタイム制などの働き方は、働く時間にある程度の柔軟性を持たせられます。
朝の体調が優れない時や通勤ラッシュを避けたい時に、出勤時間を調整できます。また、通院が必要な日やメンタルに波がある時期でも、働く時間を短くしたり休憩を多く取ったりと、体調に合わせてスケジュールを組み直しやすくなるのです。
長時間労働による疲労やストレスも減らせるため、働くことへの不安を和らげることにつながります。働き方の選択肢を活用すれば、働くことへの希望を再び見出せるでしょう。
勤務時間が短いことで業務量が減らないときは、限られた時間で成果を出すプレッシャーを感じるかもしれません。給料が働く時間に比例して減少するケースもあるため、会社に確認しておきましょう。
障害者雇用枠での就労
障害者雇用枠は、病気があることを会社に伝えて働くための雇用形態です。
障害者雇用率制度により、障害者雇用枠での就労は可能です。不安障害の方は精神障害者保健福祉手帳を所持していれば、障害者雇用枠を利用できます。手帳の取得には一定の診断基準があり、医師の診断や申請が必要です。
「障害者」という枠組みで働くと、不安障害への理解が得やすく、症状に配慮してもらいながら働けます。勤務時間や業務内容、休憩の取り方など働く上での希望や必要な配慮事項を事前に会社と相談し、合意をした上で働き始められる点がメリットです。
ただし、。、障害者雇用枠は募集されている職種や業務内容が限られます。また、障害者雇用枠での就労は周囲に疾患があることを知られるため「障害者として見られる」ことに心理的な抵抗を感じる方もいるかもしれません。
上記を踏まえ、障害者雇用枠での就労は次のように考える方におすすめの働き方です。
- 仕事に理解と配慮を求めたい
- 体調を優先して働きたい
- 安心して長く働き続けたい
自分の気持ちや現在の状況をよく見つめ、障害者雇用枠での働き方が合っているかを検討してみてください。
まとめ
不安障害を抱えながら働くことには、さまざまな悩みが伴うかもしれません。しかし、自分に合う仕事内容や働き方を選べば、不安を和らげながら働き続けることは可能です。
もし仕事で困難を感じているなら、まずは信頼できる人に相談したり、専門機関のサポートを利用したりすることを検討してみてください。本記事で紹介した不安を感じにくい仕事や働き方も選択肢として考えてみましょう。
自分に合う働き方を見つけることが、働くことへの自信にもつながっていきます。
